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HOSEI Orange Community
2020.10.16
インタビュー

卒業生インタビューVol. 7 サイトウナナさん

――まずは自己紹介からお願いします。

サイトウ 2008年3月に工学部システムデザイン学科(現・デザイン工学部システムデザイン学科)を卒業し、会社勤務を経て、現在は「クッキーアーティスト」として活動しています。並行して、個人事業にて企業のプランニング業務を行うほか、法政大学で自分が卒業した学科の教務助手も務めています。

――メインのお仕事であるクッキーアーティストの活動について聞かせてください。

サイトウ 主に企業や個人から依頼を受け、イラストやロゴなどを施したアイシングクッキーを制作しています。企業からはパーティーやイベントの来場者へのギフトとしてご依頼いただくことが多く、パッケージのデザインを含めて担当します。個人からのご発注は、結婚式の引き出物や記念日のギフトなどが多いですね。いずれの場合も、お客様の要望やイメージをお伺いしたうえで、私ならではのオリジナルクッキーを提案させていただいています。

またコロナ禍以前は、小さい子どもからご高齢の方まで参加できるクッキー作りのワークショップも行っており、可能な時期がきたら、ぜひ再開したいと思っています。

――クッキーアーティストを志したきっかけを教えてください。

サイトウ きっかけは、「たった3枚のクッキー」でした。会社員時代に社長のバースデーパーティー用にケーキを用意する機会があり、そのケーキに、会社のロゴと社長の似顔絵と名前を入れた3枚のクッキーを作って乗せたのです。それをご本人に差し出すと、ものすごく喜んでくださって。出席していた皆さんも「ワッ!」と沸いて、パーティー会場の空気が一変し、言いようのない嬉しさが込み上げてきました。

この経験からアイシングクッキーの魅力に取りつかれ、勤めていた会社を辞めて独学でクッキー作りを勉強し始めました。最初の仕事は友人の結婚式のギフト。以来、いろいろな方から少しずつオーダーをいただけるようになり、現在に至ります。もともとお菓子を頻繁につくるわけでもなかった私が、このような仕事をしているとは、「人生、何があるか分からない」と改めて感じます笑。

――この仕事のやりがいや喜びを教えてください。

サイトウ 全ての工程を自分ひとりで行っているからか、お客様から喜びの声をいただけたときは何より嬉しいですね。クッキーを手にした瞬間、渡す人と受け取る人の顔がほころび、喜んでいただける。そんな姿を想像しながら、1枚1枚、心を込めて作っています。並み居るクッキーアーティストの中でも、「ロクナハチに、サイトウナナに注文したい」と思っていただけるような、オリジナリティあふれる作品作りを今後も心がけていきたいです。

――他の2つの仕事内容についても教えていただけますか。

サイトウ プランニング業では、ブランド立ち上げ、商品開発、マーケティング戦略、PRといった領域で幅広くサポートさせていただいています。大学時代のシステムデザイン学科での学びや、会社員時代のマーケティング全般を携わった経験を基に始めました。最近では「EAR DEVIL」という耳から悪魔のツノが生えたように見えるワイヤレスイヤホンのSNSを主としたプロモーションや、新しいコスメブランド「itsumodori」を手がけています。こちらは、コンセプト設計に始まり、商品開発からコミュニケーションプランニングまで一貫して行っています。

システムデザイン学科の教務助手としては、授業で先生方をサポートしたり、講評したり、学生からの質問や相談に応えたりといった業務を行っています。

――大学時代に得られた経験で、今の仕事に生きていることがあれば教えてください。

サイトウ 所属していたシステムデザイン学科は、クリエーション、マネジメント、テクノロジーの3分野を横断的に学ぶ学科です。例えば、製品開発プロジェクトを実施し、製品を企画しデザイン・製作、コスト計算を行い、ユーザーに届ける、といった一連の流れを理解することができます。そのため、大学時代に学んだことが、現在のクッキー制作でも、プランニング業においても大いに役立っていると感じます。

大学では学科の1期生だったため先輩がおらず、何をするにも手探りで行っていた気がします。今ほど簡単に情報を入手できる時代ではなく、インターネットで調べる以外にも、専門書を読み、展覧会やイベントに足を運んで、積極的に情報収集していました。こうした環境で学ぶ中で、「自分たちで1から創り上げる姿勢」や「物事に必死に食らいつくハングリー精神」のようなものが培われ、それが今のキャリアにもつながっていると感じます。

新しい学科ということで先生方も試行錯誤されていたと思いますが、その分、学生との距離も近く、まるで家族のように濃い時間を過ごすことができました。

――課外活動で思い出に残っていることはありますか。

サイトウ 2つのサークルの設立・運営に携わったことは良い経験になりました。1つは、「女の子たちを元気にしたい」という目的で、他大学のメンバーと一緒に立ち上げた「女子大生サークル」です。女子大生を集めたイベントを開催するほか、企業とコラボして新商品を開発したり、商品のPRを行ったりと、サークルの枠を超えた多彩な活動を行っていました。たった5人で始めたサークルでしたが、関東だけでなく関西支部や中部支部もでき、最終的には150~200人くらいの巨大なコミュニティに成長を遂げました。

もう1つは、学科のメンバーとはじめた「デザインサークル」です。先程も述べたとおり先輩がいなかったので、参考書片手に自分たちでデザインのノウハウやソフトの使い方などを勉強し、みんなで協力してスキルを磨くという活動を行っていました。

――今後の目標やビジョンについて聞かせてください。

サイトウ クッキーはもちろんのこと、今後皆さんの日常に思わず「ふふふ」と笑みがこぼれるようなシーンを生み出せたらと思っています。「それがあることでホッとする」「これを見るとあの時を思い出す」というように、「人の心の中にスッと入っていく何か」を自分の手で創っていけたら嬉しいですね。