卒業生インタビューVol. 5 神谷淳さん
――まずは自己紹介からお願いします。
神谷 2010年3月に法学部法律学科を卒業し、現在は社会保険労務士(社労士)事務所の代表を務めています。新卒で全く別の業界に就職したのですが、半年で退職して一念発起、約1年間勉強に励み、社労士の資格を取得しました。その後、民間企業、社労士事務所勤務を経て2017年4月に独立しました。
現在の主な業務は、企業における人事・労務関連の相談、就業規則・労使協定の作成、労働保険・社会保険の手続き代行、給与計算、助成金申請代行などです。事務所経営は苦労もありますが、自らの裁量で仕事を進めていける点はとても魅力的だと思っています。
――なぜ社労士を目指そうと思ったのでしょうか。また、独立したときのお気持ちなどもお聞かせください。
神谷 新卒で就職した企業で働く中で、誰かに指示されて動くよりも自分で意思決定して進められる仕事の方が向いていると感じました。また、大学時代からの親友が土地家屋調査士という資格を取得しており、手に職をつけ自分の看板を掲げて働く「士業」に憧れを覚えました。その中でも社労士を選んだのは、今後さらなるIT化が進んでも、働く人に関係する仕事が消えることはないと考えたからです。
資格取得を目指した時点で独立は視野に入れていましたが、まず事務所の経営を間近で見て学びたいと考え、小規模の社労士事務所で経験を積むことから始めました。そこで3年半ほど働き、20代の最後の歳に開業。より自由に生きたいという思いと、数年頑張って軌道に乗らなかったとしてもまだやり直せるだろうという思いがあり、独立に踏み出したのです。
――独立して苦労されたことはありますか。また、それをどう乗り越えたのでしょうか。
神谷 独立したはいいものの、人脈がなく、クライアントがゼロの状態からスタートしたので、最初はとても不安でしたね。月の売上が2万円だったこともあります。貯蓄が目に見えて減っていく様子に焦りを覚える日々でした。
そんな中でも心掛けていたのは、「とにかくたくさんの人に会う」ということです。特に、弁護士、税理士、公認会計士などの士業の方には、努めて会うようにしていました。そうした方々は顧問的な立場で企業を間近でサポートしていることが多く、その企業で労務の問題が発生した際などに紹介いただけることがあるのです。「仕事をください」と直接的にお願いするのではなく、キーパーソンとなる方と親しくなって、そこからネットワークを広げていくようにしました。
そうした地道な活動が実を結び、開業して1年ほど経過した頃には、ようやく軌道に乗ってきた感覚がありました。ちょうどその頃、大学時代の先輩や知人など、法政でのつながりを通して仕事をいただく機会も増えたんですよ。
――独立して良かった点や、やりがいを感じる点を聞かせてください。
神谷 良かった点は、やはり自由な働き方が可能になったことです。自分のペースで仕事を進められ、時間があれば趣味のサーフィンに行くこともあります。コロナ禍で、リモートでもそれなりに仕事ができると分かったので、今後、場所を問わずに働けるようになればいいなと思っています。
やりがいを感じるのは、クライアントから感謝されたり、必要とされたりする時でしょうか。前職の社労士事務所で働いていた時もそういうことはありましたが、独立した今と比べると感覚は全く違いますね。現在はあらゆる局面で自ら意思決定しなければならず、迷うこともありますが、自分で考え、物事がうまく運んだ時の喜びは格別です。また、クライアントから他のクライアントに紹介いただける機会もありますが、自分への信頼の証だと感じ、非常にうれしく思います。
――法政大学での学びや培ったネットワークで、今の仕事に生きている部分はありますか?
神谷 法政の「自由と進歩」の精神は、今の働き方に大きな影響を与えていると感じます。高校も法政大学の付属学校だったので、より色濃く自分の中に生きているかもしれません。
法政の卒業生は母校愛や連帯感が強く、同じ大学出身というだけで気にかけてくださる方が多いです。先ほども述べたように、法政のネットワークでお仕事をいただく機会もあり、卒業してからも母校との強い結びつきを実感しています。
社労士になるきっかけを与えてくれた親友とはずっと交流があり、今後も一緒にビジネスを展開しようと計画しているところです。彼との出会いがなければ、今の自分のキャリアはなかったと思います。
――今後の目標やキャリアビジョンがありましたら教えてください。
神谷 現在は労務関連のサポート業務が中心ですが、今後は組織マネジメントや人事評価といった、よりクライアントの内情に踏み込んだ仕事に挑戦したいと考えています。そのためにも、仕事と並行してビジネススクールに通い、人事やコンサルティングなどに関する知識を幅広く学ぶ予定です。
もう一つ力を入れているのが英語学習です。英語が話せることで、外資系のクライアントとの仕事にも生かせますし、将来、海外で働くという選択肢も生まれます。この業界では英語が得意な人材がさほど多くない印象があるので、自分の市場価値を高めるためにもぜひ習得したいですね。独立して4期目の今、さらなる向上心をもって、さまざまなことにチャレンジしていきたいです。