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HOSEI Orange Community
2025.08.27
インタビュー

卒業生インタビューVol. 21 森千夏さん

――現在のお仕事の内容について教えてください

現在は保険会社の管理部門にて「リスク管理」の仕事をしています。リスク管理といっても幅広いのですが、私の担当は、社内のすべての部門と連携しながら、それぞれの業務で起こり得るリスクについて、洗い出しや対策がきちんと行われているかを全社的な視点で確認し、リスク管理の仕組みが現場できちんと運用されるよう働きかけています。また、各部署の取り組み状況を見ながら、必要に応じてリスク管理体制の強化を検討するなど、ステークホルダーの安心安全を支えています。

   

――お仕事と並行して、シンガーソングライターとしても活動されていると伺いました。

音楽活動を始めたきっかけや、どんな想いで続けているのかをお聞かせください。

もともと中学生のころからギターを弾くのが好きで、曲も作っていました。でも、その当時はなかなかその先に進むことができませんでした。ただ、「いつか配信してみたい」という漠然とした目標、夢はずっと持っていたんです。社会人4年目の10月、仕事も少し落ち着いてきたタイミングで会社に副業申請を出し、本格的に音楽活動を始めました。今はInstagramやApple Music、Spotifyなどで曲を配信しています。会社員として働く日々と、シンガーソングライターとしての活動、その両方の経験を活かした曲作りをしていきたいと思っています。日常を歌にして、同じように働く人や、夢に向かって頑張る人の背中を押せるような、そんな曲を届けていきたいです。

「恥ずかしがり屋な自分を変えたい」という
想いからギターを始める

――法政大学のキャンパスでミュージックビデオの撮影をされたとお伺いしましたが、その場所を選んだ理由や、撮影時のエピソードなどがあればぜひ教えてください。

多摩キャンパスで撮影したミュージックビデオの曲は、社会人になる仲間や自分自身への応援の気持ちを込めて作ったものです。だからこそ、学生時代を過ごした思い出の場所でミュージックビデオを撮影したいという思いが強く、多摩キャンパスの事務課の方々にお願いしたところ撮影させていただくことができました。撮影は、当時のゼミの同期にカメラマンをお願いし、ゼミや自主マスコミ講座で一緒に活動していた友人に出演してもらいました。本当に素敵な仲間に出会えたなと今でも思います。SNSなどを通して、全国各地で頑張っている友人たちの姿を見ていて、そうした日々の刺激が私の曲作りの原動力にもなっています。ミュージックビデオの撮影では、自主マス時代に使っていたノートや手帳を持ち込んで、学生時代の自分を振り返りながら撮影に臨みました。

多摩キャンパスで撮影した楽曲「スピード」のMV、
動画はこちらから!
温かく支えてくれる仲間の存在を力に、
誰かの心に残る瞬間を届けるべく
アーティスト活動に奮闘中

――在学中に力を入れていたことや、印象的な学び・活動があればお聞かせください

ゼミでの活動です。もともとテレビやものづくりが好きで、法政大学女子高等学校(現・法政大学国際高等学校)に通っていた時に、映像制作を専門とする稲増ゼミの存在を聞き、そこに入りたくて社会学部メディア社会学科に進学しました。一年を通して、地域活動を紹介するニュース番組や、脚本から演出まですべて自分たちで手がけるドラマ、ミュージックビデオや映画など、さまざまな映像作品の制作に取り組みました。毎回、6人から10人弱のチームで制作を進めるのですが、将来この道に進みたいという思いを持った熱意ある仲間ばかりで、とても刺激的でした。特に印象に残っているのは、泊まり込みで編集作業をしたことですね。今思うと、だいぶ体力あったなって思います(笑)。でも、仲間とともに一つの作品を作り上げることの楽しさややりがいが大きくて、その時は夢中で取り組んでいました。ゼミの仲間や先生のおかげで得られた、本当に貴重な学びだったと思います。

多忙ながらも充実していたゼミでの映像制作、
寝る間も惜しんで編集に励んだというエピソードも

――法政で過ごした学生時代の経験は、今どのように活かされていると感じますか?

ゼミでの活動の他に、テレビ局の朝の情報番組のADアルバイト、イベントMCなどを務めるイベントコンパニオンの仕事など、当時は、やりたいことに対してどんどん挑戦していた記憶があります。社会人になって、ふと学生時代の自分を思い起こした時に、今の自分と照らし合わせて「あの頃のように、やりたいことに向かって挑戦し続けることができているかな」と自分の行動の指針にしています。大学時代の自分が原動力になっているところはあります。現在は業界こそ違いますが、自主マスコミ講座の同期や先輩の活躍を見ると今でもとても刺激を受けています。自主マスでの経験は、私が曲を作る上でもたくさんのきっかけに繋がっています。一度、市ヶ谷祭でトークステージの司会をやらせていただくことがありました。その時も、学生の皆さんのパフォーマンスを間近で見てパワーをもらいました。良い思い出です。

市ヶ谷祭でトークステージの司会として活躍するなど、
メディアの世界で経験を積み重ねた学生時代

――これまでの中で、乗り越えるのが大変だった経験や悩んだ時期もあったかと思います。そんな時、どのように気持ちを切り替え、前に進んできたのでしょうか?

就職活動では、4年生の11月まで自分の進路に迷っていて、周りの進路がどんどん決まっていく中で焦りや不安も大きく、その頃は毎日のように泣いていた記憶があります。そんな時にすごく支えてくれたのが仲間の存在でした。コロナ禍で直接会うことはできませんでしたが、LINEやZoomを通して励ましてくれたことが本当に心強くて、救われた気持ちになりました。社会人になってからも、周りが理想の姿に向かって進んでいるように見える中で、自分の理想とのギャップに悩むことがありました。「本当にこの道でいいのか」「自分は何になりたいのか」と自問自答する日々が続いたんです。そんな時、私の気持ちを受け止めてくれたのが「音楽」でした。今感じていることは「今しか感じられない気持ち」だと思い日記代わりに歌に詰め込んでいました。あの時の気持ちを、いつか同じように悩んでいる誰かに届けたい、そんな思いで曲を作っています。

  

――曲作りの際に大切にしていることについて教えてください

曲作りでは、特に歌詞に込める想いを大切にしています。友人への感謝や、自分が夢に向かって頑張っている時の気持ちなどです。今も制作途中の曲がたくさんあって、それらを少しずつ形にして世に出していくことが、今の私にとっての生きがいであり、これからの挑戦でもあります。日常の中にある何気ない風景や感情を切り取って、耳に残るような、そっと寄り添えるような曲を届けたいと思っています。誰かの心に残る曲、青春を共にするような曲を作ることが私の夢です。そのために、これからの生活の中でもいろいろなことを学び、曲作りに活かしていきたいと思っています。

   

――最後に、若手卒業生や在学生に向けてメッセージをお願いします

私も当時そうだったのですが、「これから自分はどうなっていくのだろう」「どんな仕事に就くのだろう」と、不安や悩みを抱えている方は多いのではないかと思います。でも、たとえ今、過去に思い描いていた自分になれていなかったとしても「こうなりたい」「やってみたい」という気持ちを持ち続けていれば、たとえ形は違っても少しずつ理想の自分に近づいていけると思います。たとえば、一ヶ月後や一年後の自分に向けて、小さくても目標を立ててみる。そして、それが達成できたら自分をちゃんと褒めてあげる。そんな風に、できたことを少しずつ積み重ねていくことで、過去の自分よりも前に進み、確実に成長していけるはずです。「今」という時間は、本当にかけがえのないものです。不安や迷いも含めて、その「今」を楽しむことを大切にしてほしいなと思います。私もこれからもその気持ちを大事に、過ごしていきたいと思っています。

音楽番組のラジオパーソナリティも担当、
音楽を軸に多方面で前向きなチャレンジを続けている
【プロフィール】

森 千夏(もり ちなつ)

シンガーソングライター

保険会社総合職

2017年法政大学女子高等学校 (現 法政大学国際高等学校)卒業

2021年社会学部メディア社会学科 卒業