卒業生インタビューVol. 20 丸島拓郎さん

過去に「活躍する卒業生」企画に協力いただいた丸島さんに、最近のキャリアについて語っていただきました!
【これまでのキャリア】
・2017年に日本航空の業務企画職として入社。その後、ITや人事の経験を経て、新規事業を開発する部署では、教育商材をゼロから立ち上げ、数億円規模の事業へと成長させることに貢献。
・2021年から成蹊大学でキャリアに関する講師を務め、1年目で”最優秀講師賞”を受賞。同テーマにてこれまで100回以上の講演、延べ5000人以上の小中学生から若手社会人を対象に、日本全国で実施。
・同時期に夫婦で不動産事業を立ち上げ、賃貸や民泊など複数の形態で不動産を運営。
・現在はアメリカワシントン州の大学へビジネス留学。2025年のUSCPA(米国公認会計士) 資格取得を目指しダブルスクールで学びを重ねる一方、米国での起業も前提に日々奮闘中。
――日本航空でのお仕事について、具体的にどのようなことを行ってきましたか?
IT領域でプロジェクトマネジメントや新規事業に携わったのち人事部に異動。
コロナ禍においては、会社の収益構造の再構築が急務となる中、公募制度を利用して新規事業開発部署へ異動し、教育商材をゼロから開発し、収入の柱になるまで成長させる経験をさせてもらいました。 日本航空では自分がやりたいことに携わることができ、本当に何もないゼロから事業を立ち上げて数億円規模の事業が実現するプロセスを主担当として体験できたことは、大きな自信になりました。

一日密着取材。動画はこちら
――同時期に大学や地域において“キャリア教育”を実施された想いを教えてください。
「年を重ねることをポジティブに思える学生を増やしたい」これが、私自身が教壇に立っている最大の目的です。前提として、人様の人生に影響を与えたいという考えはおこがましいと考えます。
一方で、自分が感じている社会課題(画一化された就職活動、“こうあるべき”といった強い固定観念の基で、窮屈さを感じながらキャリアを選択していく問題)に対して、なにもしないというのも無責任だと思うことも事実なので、自分にできることを行いたいと思っています。 大学ではキャリアに関する講義を担当しておりますが、“生き方”という正解のない問いに対して、選択肢を少しでも広げ、将来に対してワクワクしてもらえることを目指しています。

多くのメディアに取り上げていただく

妻と和歌山県の小学校で実施しているキャリア教育
――日本航空での会社員生活と大学講師業 に加えて “ご夫婦で事業” を開始された経緯を教えてください。
事業はあくまで手段だと考えており、大上段には、妻と“自分たちらしい生き方”を体現していきたいという思いがあります。
夫婦で世界20か国以上の国を旅し、多様な価値観に触れるなかで、これまでいかに小さな世界の常識で生きてきたのかを気づかされ、同時に将来に対するワクワクが広がっていくのを感じました。その経験を通じて、自分たちが本当に大切にしたいことが少しずつ明確になっていき、自然と事業を始めることになりました。 これからも旅を続けながら、自分たちらしい生き方を探求していきたいと考えています。
――そして今回、奥さまと2人で日本航空を退職し、アメリカに留学された背景を教えてください。
日本航空は大好きな会社でした。特に20代のうちに、自分よりも圧倒的に優秀な方と出会う機会に恵まれ、そういった方の生き様やスキルを間近で学べたことは、かけがえのない経験でした。
加えて、大学講師や不動産事業も軌道に乗ってきて、数字や事業規模だけで見れば社会的にも影響力のある仕事をやらせてもらっていましたが同時に、どこかで自己成長の“頭打ち”と個人として“無力感”を感じていました。また、毎日を懸命に生きていた学生時代の自分と比べ、同じ熱量ではないことも同時に気づき始めていました。
だからこそ、ひとりの人間としていまの自分に必要なのは“積み上げてきたものを一度捨て、新しい自分を作ること”だと思い、米国へのビジネス留学を決意しました。 また今後の人生において、あらゆる選択肢の中から、自分たちが最も理想とする生き方を選ぶためにも、自力で日本以外の国に住み、様々な生き方と選択肢を知ることで、自分たちの価値観と向き合う時間を作りたいという思いも本決断に大きく寄与しました。
――会社員としても個人としても“新しい価値を生み出す”経験を多くされていますが、共通して大切にしている考えがあれば教えてください。
“誰でもできることを誰よりもやる”という姿勢は、学生時代から常に大切にしている考えです。
そのうえで事業においては、最悪のシナリオを想定し、それでも採算が成り立つのかを最重要視します。
新しい価値というと斬新なアイデア、楽しさやワクワク、同時にリスクテイカーなど大胆な選択をし続けているように思われますが、実はとても地味で、かつコンサバに事業計画を練るところから始まります。 不動産事業では1億円以上の借入を行い、複数の物件を所有していますが、全てどんなワーストケースが起きたとしても負ける確率の低いポジションをとれるよう努めています。また結果に左右されることなく、その過程における判断軸をなにより大切にしています。それこそが長い目で見たときに、再現性を高めてくれる武器であり、自分を守ってくれる知識(盾)になると思っています。
――様々な経験をされていますが、どのような場面で、苦労し、やりがいや喜びを感じるか教えてください。
妻と「“2人だからこそ”辿り着いた景色を見られた瞬間」は最高に楽しいですし、自分たちの理想の生き方に近づいている実感を持てるときはワクワクします。振り返れば、2020年時点で3年~5年スパンで目標を掲げ、戦略的に資金繰りを計画し、ひとつずつ予定を大きく上回る実績で達成することができたことで、いまなにかの組織に依存することなく自力でアメリカ留学という挑戦をすることができています。
会社員で働きながら、前例のない人生を開拓していくには、圧倒的な行動量が必要でしたし、自分たちを信じるきることが不可欠でした。“ロールモデルがいない人生”を目指すということは、毎日が暗中模索で結果も出ない時期は“つらい”という言葉を超越した時間だったと思います。 ただそうした苦しい経験をひとつずつクリアしてこられた成功体験の積み重ねが、2人の自信につながっていると感じます。
――高校や大学など学生生活の経験は現在にどう活きていますか?
私は人生で、忘れることのできない2つの挫折を経験しています。
高校野球で目指すところまで勝ち上がれなかった経験と、大学ラクロス部で120人のキャプテンとして、理想のチームを作ることができなかった経験です。どちらの挫折にも共通する反省点は「自分を信じ切れなかったこと」です。いまでも頻繁に夢に出てきますし、古傷のように心に深く刻まれた経験となっています。 ただ今思えば、一生忘れることのない“打席”と、本気で悔しい“主将経験”をさせてもらえたことに価値があると思っていて、当時の仲間には本当に感謝しています。

(本人:打者)

世代別選抜の国際大会にも出場
(本人:4番白ユニホーム)
――今後の目標やビジョンを教えてください。
妻と“2人だからこそ見られる景色”を今後も追い求めていきたいと思います。日本では既に事業を開始していますが、今後はアメリカ含め広い視野で、妻と事業を行っていきたいです。自分たちが本当に人生を賭けて社会貢献したいことに携わり、自分たちが創造したモノを通じて、誰かの笑顔や喜びという価値を提供し、自分も家族も社会も豊かにできるような生き方が理想です。
そのためにも僕自身が、妻にとって、自己肯定感を高めてあげられる存在であり続けたいですし、大きな視点でいえば、女性が活躍しやすい社会を作っていきたいと心から思います。 その結果、“夫婦で”活躍するロールモデルとして誰かにいい影響を与えられる日が来たら嬉しく思います。

ブルーゾーンと呼ばれるこの場所での体験は、
生き方にも大きな影響を与えてくれた
(本人:下段右から2番目)
――若手卒業生や在学生に向けてメッセージをお願いします。
後輩のみなさまに対して、偉そうになにかを語れる立場ではないので、自分に対するメッセージという前提で言葉を選ぶとするならば、“知識や資産よりも、経験にこそ最大の価値があって、それが自分らしくいるための武器になる”と僕は信じています。
AIの台頭、正解っぽい回答が一瞬で手に入る世の中、“こうあるべき”といった価値観が多く存在し、“コスパ”や“効率”が重視される社会。なにか行動もしてもないのに、簡単にわかった気になれてしまう。だからこそ、自分が時間をかけて培う経験や、生産性を求めない時間の使い方を大切にしていきたい。自分の意志を軸に覚悟をもって行動したその先には、期待値以上の“なにか”が絶対にあると思うのです。
夫婦で退職、起業、アメリカ移住、ビジネス留学…
正直シアトルに来てからも、これまでの自分が積み上げてきたものを手放し、変化していくことに戸惑い、想定以上に苦しい日や将来に不安を感じる日も多々ありました。それでも渡米前の予想なんかまったく当てにならないくらいの、素敵な人たちとのご縁があり、自分たちの北極星(=大切にしたい価値観)もリバイスされながら、夫婦で共通認識を持ち、ワクワクしながら次に目指す方角が見えてきていたりもします。
自分たちにとっての幸せを探し、見つけて、定義づけし、そこに対して自分たちのペースで妥協せず生きていく。 “弱い自分、変わり続ける自分、矛盾、不完全さ”を受け入れ、それでも、自分を信じ行動し続けていくことを、これからも大切にしたいと思います。

自分たちらしい生き方を探すために、
夫婦二人三脚での挑戦をこれからも続けていく
【プロフィール】
丸島 拓郎(まるしま たくろう)
2009年度 法政大学中学校 卒業
2012年度 法政大学高等学校 卒業
2016年度 法学部政治学科 卒業