卒業生インタビューVol. 19 関岡美音さん
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――法政大学卒業から現在に至る経緯を教えてください
2020年に法学部国際政治学科を卒業後、新卒で株式会社ブリヂストンに入社し、法務部で働いていました。 若手が海外に行ける制度があったのですが、入社後コロナウイルスが流行した関係で本制度が見直されたことから、今後のキャリアに悩んでいた時期でした。
大学時代、10か月間オーストリアのウィーン大学に留学(派遣留学制度)していた際にお会いした 、在外公館派遣員として勤務している先輩から2、3年間海外の在外公館で働ける制度(在外公館派遣員制度)があることをお聞きました。そういった仕事もあるんだ、受けてみようと思い、社会人1年目の時に試験を受けて合格しました。ドイツの総領事館で派遣員として2年間勤務し、各省庁からの出張者支援や、G7などの大型ロジスティクス*の支援業務に携わりました。2022年にドイツで行われたG7「エルマウサミット」でも支援業務に携わらせていただき、 貴重な経験を積むことできました。
*出張のアテンドや予約、スケジュール調整、資料の準備、クライアントとの連絡など
在学公館派遣員は2年間の期限付きの仕事だったので、ドイツに残るか、日本に帰るかという選択肢の中で、引き続きドイツ語を使った仕事がしたかったことに加えて、ドイツでキャリアを積んでみたいと思い、任期満了を迎えた後、現在は日系商社のドイツ拠点でリサーチ関連の業務に携わっています。
――現在のお仕事の内容について教えてください
仕事は多岐に渡りますが、メインの業務は政治情勢調査で、ドイツの政治経済情報を日本の本社や海外の拠点に発信する仕事です。新聞報道やニュースをチェックするほか、シンクタンクなど研究機関とのミーティングをセットして、エキスパートからドイツの政治経済の分析を聞き、収集した情報をまとめて日本に向けてレポート(発信)するといった仕事に携わっています。
その他、VIPのロジスティクス手配・アテンドや社内危機管理体制の整備など総務案件も一部担当しています。
――お仕事での苦労や力を入れていることについて教えてください
日々勉強が欠かせないことです。ニュースを読み理解するのは語学力と専門知識が必要で、まずはドイツの政治の仕組みや、一般的な政治経済の基礎知識が必要です。ドイツ国内や海外でどのような動きがあるのか、常にアンテナを張っておく必要があります。
現地の人とのやり取りは、文化が違えば考え方も違うので大変に感じることもあります。ドイツの方はどちらかというと個人主義の方が多い為、 どうやったらチーム意識を持ってもらえるか、 どうしたら一緒に仕事をしやすくなるのかを意識しながら仕事しています。
言語に関して、インプットは主にドイツ語や英語で、アウトプットは基本的に日本語です。語学力の向上も求められるため、ドイツ語の語学力は、仕事終わりに語学学校に通いながら勉強しました。
――大学時代、学びの面で力を入れて取り組まれたことがあれば教えてください
語学の勉強です。大学1〜3年時は派遣留学に向けて英語の勉強に注力していました。留学期間中の1年間は、文化学やオーストリアの法律政治の入門の留学生向けの開講など、幅広く受講していました。現地では特に日本語学科の方と交流があって、ランゲージエクスチェンジのように、お互いに日本語とドイツ語を学び合っていました。大学4年時には派遣留学先から帰国したタイミングで、現地で学んだドイツ語の勉強に注力しました。
――大学時代、クラブ・サークル活動など課外活動の面で、力を入れて取り組まれたことがあれば教えてください
所属していた他大学の管弦楽部(オーケストラ)の活動です。小学生の頃から習い事でトランペットをやっていてことから、大学でも引き続きトランペットを担当しました。
派遣留学先のウィーンでは、地元のブラスバンドクラブに入団し、街のコンサートやイベントに出演していました。地元の人たちで構成される団体でしたが、温かく迎えてくれました。当時はドイツ語が全くわからないので、身振り手振りを入れて話していましたが、現地に溶け込んだ感じがし、とても良い経験となりました。
――法政での学びや体験は、現在のお仕事にどのように生きていますか
HOP(法政オックスフォードプログラム)、エッセイの授業、派遣留学などを通じて学んだ語学力は、現在の仕事に直結して活きています。政治はもう少し勉強しておけばよかったと思うところはありますが、基礎知識はつけられたと思うので、現在の仕事にも役立っていると感じます。1年次のAcademic Englishで取り扱ったアメリカ史は現在のアメリカ政治を理解することに役立っており、ドイツ政治との比較の意味でしっかり学んでよかったと思います。また、現職ではレポートを書くことが多いので、文章の書き方講座で学んだ、読みやすく・分かりやすい文章の書き方も役立っています。
――ドイツ校友会での活動や雰囲気について教えてください
私が初めてドイツ校友会のイベントに参加したのは、2年前です。当地デュッセルドルフでは、約65万人もの観光客が訪れる「Japan Day」という日本の文化を紹介するイベントが年に1度開催され、前回はこのイベントに合わせてドイツ校友会の集まりが開催されました。メンバーは大先輩から若手まで幅広い世代の方がいらっしゃり、 駐在員や現地就職者など多岐に渡ります。普段から食事に行く機会があるなど、年齢関係なく交流できる場となっています。
――若手卒業生や在学生に向けてメッセージをお願いします
やってみたい事や試してみたい事があれば、どんどん挑戦してみてください。行動する前には色々と不安を感じるかもしれませんが、自分が納得するまで考え抜いた決断であれば、後悔は生まれないはずです 。私は新卒で入社した会社を退職する際に、 周りから「3年は勤めた方がいい」とアドバイスを頂くこともありましたが 、悩みに悩んで最後は自分の意志で決断をし、そのアドバイスを振り切ってでも、若いうちにドイツに来れてよかったと思っています。やりたいことや叶えたい目標があったら、色々と挑戦してみていただければと思います。応援しています。
【プロフィール】
関岡 美音(せきおか みお)
日系商社ドイツ拠点
2020年法学部国際政治学科卒業